こ う う ん せ き
黄雲石

  豊穣を願う雨乞いの石                                     Discovered in 03/2001


   【特徴】―― 砂質泥板岩。同じ地層の村雨石とは成立ちが異なるため、鋒鋩が強く粘り気があります。
           石紋(石疵)が多すぎたり、硯面の紋様に墨が染込み見目が悪くなるなど、実用硯としては不向きなきらいもありますが、
           墨の汚れは目立て用の砥石で砥げば取れますし、何より端渓の水巌石によく似た特徴が見られるので、十分使用に
           堪えられる硯石だと思っております。
   【石色】―― 灰青色。青黒色。緑色。
   【石質】―― 硬め〜やわらかめ。硬度は高め〜低め。
   【石紋】―― 黄雲紋、青花、虫シュ(虫蝕い)、黄龍紋、蒼龍紋、氷紋、火捺、水波紋、銀星、猪ソウ紋、カラス・・・。

             
           虫蝕い          青花         鮮血辺           カラス
   【原石】
       

   皮つき石。                       渓流の水に揉まれ脆弱部が取れた、丈夫で固結度の高い砂質泥板岩です。
   黄色い表皮(「黄ヒョウ」)を被った原石。      墨流しのような金泥状の"黄雲"紋様は、成り立ちの時に「黄ヒョウ」
                                 (黄色い皮状のもの)が流れ込んで出来たものと思われます。
   

  2001年春撮影。この冬の大雪で雪崩れ出た黄雲石。
  地表を割って初めて世の中に出た瞬間です。ここに繭状の化石も多数含まれて
  いました。





                                             ※ 各画像をクリックするとそれぞれのページが表示されます。


    灰青色 ――― 灰青色の中にも2種類の硬さがあり、色も微妙に違いがあります。
                 こちらは黄雲石の中では一番硬めで、少し接触変質を起こしています。肌理は粗め。
                 地の部分は以外にやわらかく、雲状の部分は少しざらつきがあります。
                 この硬さの石には”虫蝕い”が少なく、雲の紋様も桃山調で鑑賞用に向いています。


                     ■ 「」の付いた品は、鑑賞硯・鑑賞石としてもお楽しみいただけるため、目立てをしてありません。
                     ■ 天然形のため、寸法は最長部分を表記しています。
                     ■ 掲載の品は、漆等を施したものとそうでないものがあります。


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   灰青色・やわらかめ ――― こちらは肌理が細かく、地も金泥状の部分も同じやわらかさです。
                        周りには必ずといってよいほど細かな「青花」が見られ、雲の紋様は上の黄雲石よりやや乱雑です。
                        ”虫蝕い”が入っています。



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   緑色 ――― 緑色の石でも微妙に色や質が違います。やわらかく肌理は細かめ。砥石(中砥あたり)としても使えます。



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   蒼黒色 ――― 黄雲石から300mほど離れた場所で採取。脆いので状態の良いものは少ない。石質はやわらかめです。



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                 -参考品-



         ※ 地層による石質・石色に違いはありますが、端渓や歙州の水巌石によく似た石紋が見られるため、
            中国の硯用語をお借りしました。(漢字を変換できない部分はカタカナで表示)





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