黄雲石
【特徴】―― 砂質泥板岩。同じ地層の村雨石とは成立ちが異なるため、鋒鋩が強く粘り気があります。 石紋(石疵)が多すぎたり、硯面の紋様に墨が染込み見目が悪くなるなど、実用硯としては不向きなきらいもありますが、 墨の汚れは目立て用の砥石で砥げば取れますし、何より端渓の水巌石によく似た特徴が見られるので、十分使用に 堪えられる硯石だと思っております。 【石色】―― 灰青色。青黒色。緑色。 【石質】―― 硬め〜やわらかめ。硬度は高め〜低め。 【石紋】―― 黄雲紋、青花、虫シュ(虫蝕い)、黄龍紋、蒼龍紋、氷紋、火捺、水波紋、銀星、猪ソウ紋、カラス・・・。 虫蝕い 青花 鮮血辺 カラス 【原石】 皮つき石。 渓流の水に揉まれ脆弱部が取れた、丈夫で固結度の高い砂質泥板岩です。 黄色い表皮(「黄ヒョウ」)を被った原石。 墨流しのような金泥状の"黄雲"紋様は、成り立ちの時に「黄ヒョウ」 (黄色い皮状のもの)が流れ込んで出来たものと思われます。 2001年春撮影。この冬の大雪で雪崩れ出た黄雲石。 地表を割って初めて世の中に出た瞬間です。ここに繭状の化石も多数含まれて いました。 ※ 各画像をクリックするとそれぞれのページが表示されます。 ■灰青色■ ――― 灰青色の中にも2種類の硬さがあり、色も微妙に違いがあります。 こちらは黄雲石の中では一番硬めで、少し接触変質を起こしています。肌理は粗め。 地の部分は以外にやわらかく、雲状の部分は少しざらつきがあります。 この硬さの石には”虫蝕い”が少なく、雲の紋様も桃山調で鑑賞用に向いています。
■灰青色・やわらかめ■ ――― こちらは肌理が細かく、地も金泥状の部分も同じやわらかさです。 周りには必ずといってよいほど細かな「青花」が見られ、雲の紋様は上の黄雲石よりやや乱雑です。 ”虫蝕い”が入っています。
■緑色■ ――― 緑色の石でも微妙に色や質が違います。やわらかく肌理は細かめ。砥石(中砥あたり)としても使えます。
■蒼黒色■ ――― 黄雲石から300mほど離れた場所で採取。脆いので状態の良いものは少ない。石質はやわらかめです。
※ 地層による石質・石色に違いはありますが、端渓や歙州の水巌石によく似た石紋が見られるため、 中国の硯用語をお借りしました。(漢字を変換できない部分はカタカナで表示) |